ポピュレーションアプローチとは

ここでは、ポピュレーションアプローチの概要や得られる効果、具体的な導入方法について解説します。具体的な施策についても紹介していますので、導入の参考にしてみてください。

ポピュレーションアプローチについて

ポピュレーションアプローチとは、集団全体を対象として働きかけを行い、全体としてのリスクを下げるアプローチのことです。

社員の健康リスクを改善するには、健康増進の取り組みを全体に働きかけることが有効とされています。

健康は、遺伝や個々の生活習慣だけなく、家庭や職場、地域など個人を取り巻く環境や職業、学歴、所得などの社会的経済状態からも影響を受けるものです。

ポピュレーションアプローチは、これらの社会的決定要因に対してアプローチし、健康を支援する環境づくりとしての役割を持ちます。

ポピュレーションアプローチのメリット

ポピュレーションアプローチを行うと、企業全体の健康意識が高まり健康リスクが低減されて、従業員が健康を維持しながら働けるようになります。

従業員が健康になればモチベーションが高まり、生産性の向上も期待できるでしょう。しかも、ポピュレーションアプローチの効果が及ぶ範囲は、個人ではなく社内全体です。集団を対象としてアプローチするため、効率的に健康リスクを低減させられる可能性があります。

さらに、健康リスクレベルの高い人やストレスレベルの高い人の減少にも効果的です。日頃から集団全体に啓蒙活動や健康への取り組みを呼びかけることで、全体の疾病発症率を下げることにつながります。

ポピュレーションアプローチ導入の流れ

1.健康経営の計画を策定する

まず、自社の健康課題を把握して、課題への取り組みを検討することが大切です。どんな課題があり、どの課題に取り組むのか、最終的に何を目指すのか、具体的な目標を設定して計画を策定します。

2.測定環境を整える

課題を分析するためには、従業員の生活習慣や自社の職場環境など、リスク要因の背景となる項目を洗い出すことが重要です。従業員に面談やアンケートで生活習慣についてヒアリングする、健康診断やストレスチェックなど健康状態のデータをまとめるなど、効果を測定するための環境を準備します。

3.対策方針を検討する

課題を抽出し測定環境を整えたら、次に有効な解決方法や対策・方針を決めていきます。従業員全体に向けた啓蒙活動や福利厚生など、集団に向けたアプローチに絞り込むことが重要です。

具体的な取り組みとして、会社全体のスポーツ大会やレクリエーションを行う、近くのスポーツジムの利用費を会社が負担する、などが挙げられます。

ポピュレーションアプローチの具体的な施策

ポピュレーションアプローチとして効果的な施策はさまざまですが、以下のような具体例があります。

運動機会を設ける・運動習慣を促す

ウォーキングイベントへの参加や運動会などスポーツイベントの実施、運動セミナーなど、運動を促進する機会を創出することで、従業員の健康リスクを下げる効果があります。

すでに疾病を抱えている従業員や健康リスクの高い従業員に対して運動促進を行うことも大切ですが、まだ健康リスクのない従業員やリスクの低い従業員に対しても有効です。仕事のパフォーマンスが向上する可能性があり、長期的な視点で組織を活性化することにつながります。

食生活の改善を促す

適切な食事量や栄養バランスなど、従業員の普段の食生活改善を促すことで、健康的な食生活に関する知識が定着し、行動を後押しすることに繋がります。

バランスの良い食事を提供する社食などの食環境整備にあわせて、食事セミナーを実施するなども効果的です。自らの食事について振り返るきっかけとなり食事や健康に関心を持つようになると、全体の健康リテラシーが高まります。