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会社の空調から考える社員の健康管理

オフィスの空調は何度に設定するのがよいのでしょうか。ここでは、会社の空調と社員の健康管理の関係について考えます。

社員の業務における空調の影響について

空気調和・衛生工学会大会で発表された「コールセンターの室内環境が知的生産性に与える影響」という研究で、134日・13,169人分のコールセンターのデータをもとに、室内温度と1時間の平均応答件数を調査。

結果、室内温度が25℃から26℃に1.0℃上昇した際、作業効率が2.1%低下したという調査結果が得られました。

※参照元:空気調和 ・衛生工 学会大会学術講演論文集|コールセンターの室内環境が知的生産性に与える影響[PDF](https://www.jstage.jst.go.jp/article/shasetaikai/2005.3/0/2005.3_2053/_pdf/-char/ja

オフィスの適正温度は何度?

エアコンの設定温度は28℃が推奨されると聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。労働安全衛生法の事務所衛生基準規則5条3項によると、「事業者は、空気調和設備を設けている場合は、労働者を常時就業させる室の気温が18度以上28度以下になるよう努めなければならない」とされています。

室温を基準としてエアコンの温度を調節することは、オフィスの温度管理の基本です。エアコンの温度を28度に設定していたとしても、室温が28℃以下になっているかは室温計で測らなければ分かりません。オフィスの温度管理は、まず室温の計測から始めましょう。

※参照元:e-gov|昭和四十七年労働省令第四十三号 事務所衛生基準規則(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000043_20221201_503M60000100188

オフィスの適正温度が見極めにくい理由

オフィスの適正温度は見極めが難しいです。例えば、ずっとオフィスにいる人と営業で外出が多い人とでは体感温度が異なります。男女や体格、年齢によっても違ってきますし、寒がりの人や暑がりの人など温度の感じ方は個人差が大きいです。

また、同じオフィスでも場所によって空調環境は違うもの。例えば、窓からの日差しやすきま風、パソコンなどからの放熱、人口密度などによっても影響を受けます。会社にとって適した温度を見極めることが大切です。暑い日や寒い日など外気により違いもあるので、その日の気温に応じてオフィスの温度を調節する必要もあるでしょう。

会社での空調管理の対策

空調の管理者を決めてルールを設ける

エアコンの設定を誰もができてしまうと、自分の都合に合わせた温度にしようとコロコロ設定が変わってしまう事態にもなりかねません。空調の管理者を決め、エアコンの温度設定はその人以外は操作できないようにしましょう。

管理者はオフィス内に室温計・湿度計を設置し、客観的な数字でエアコンの温度を決める必要があります。

エアコンの風向きを工夫する

エアコンの風向きは直接人に当たらないようにしましょう。壁や天井に向けて反射させるようにするとオフィス全体に行き届きます。暖かい空気は上方、冷たい空気は下方へたまるので、冬場はなるべく下方向へ、夏場は上方向に向けましょう。

また、エアコンの風をオフィスに均一に循環させるため、扇風機やサーキュレーターで空気の流れをつくるのも効果的です。

熱源や日差しの影響を少なくする

熱源の影響を少なくするため、照明を発する熱量が少ないLEDに変えたり、プリンターをデスクから離れた場所に設置したりしましょう。パソコン本体など放熱するものは、足元に設置するとよいです。

また、直射日光が当たる場所があるならブラインドやカーテンを付けて急激な気温の上昇を防止しましょう。仕事に直接関係ない冷蔵庫やポット、コーヒーマシンなどの家電は給湯室など別の部屋に置くようにします。

空調管理を行う上での注意点

空調管理を行う上でまず必要なことは、現状把握です。オフィス内の複数個所に温度計を設置し、数値を計測してみましょう。エアコンの設定温度を揃えておくと、より検証がしやすいです。それを定点観測して、エアコンの設定温度と実際の温度の差異も測ります。

そのデータをもとに仮説を立て、エアコンの効果が発揮されにくい理由を考えましょう。それらについての解決策を検討すれば、効果的な空調管理が実現できます。

また、適度な湿度であることも重要です。室温がちょうどよくでも湿度が高いと不快指数も高くなり、不快感をつのらせてしまいます。エアコンの設定だけでなく、シーリングファンやサーキュレーターを活用して空気を循環させ、湿度を調節するようにしましょう。

システム面での空調管理

空調制御システムとは、オフィスなどの空調設備を制御・管理するためのものです。建物における電気使用量の約半分は空調が占めていますが、空調制御システムを導入することで空調にかかるエネルギーコストの削減が期待できます。

空調制御システムの仕組みは、温度センサーと制御装置を空調設備に備え付けて温度を計測し、センサーからのデータを元に制御装置が空調の温度や湿度をコントロールするというもの。設定した範囲で温度を維持したり、設定した温度になるとエアコンを自動的にON・OFFしたりすることができます。

空気の流れの制御も可能です。空気の吹出口やダクトの開閉によって風量や風向きをコントロールし、空気を均等に配分します。温度・湿度のデータや温度分布図、電力消費量など、空調設備に関するデータが管理画面から確認することも可能です。

窓の開閉で空調管理をするポイント

空調を管理するため室内を定期的に換気することが推奨されます。窓の開閉が可能なオフィスの場合、30分に1回以上窓を数分間全開にすることが望ましいです。窓を開ける際は窓を2ヶ所、できれば向かい合う窓を開けて室内に空気の流れを作ります。窓が1つしかない場合は窓と一緒にドアを開けたり、換気扇や扇風機を活用したりして新しい空気が流れるようにしましょう。

窓の開閉ができないオフィスの場合には窓を通した換気はできませんが、機械によって必要な換気が行われているため安心です。さらに室内の人数を減らしたりドアを開けたり換気扇を利用したりするなどの工夫をすれば、より効果的な換気が期待できるでしょう。

   
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