社員の健康管理に重要な
コミュニケーション
【健康経営の基礎知識】

健康経営を目指す上で、従業員たちのコミュニケーションがどれほど大きな影響を与えるのかを見ていきましょう。

コミュニケーションも健康管理に影響を与える？

社内でのコミュニケーションが不足している状態では、従業員の心身の健康に影響を及ぼすことが分かっています。コミュニケーションが盛んに交わされていれば、上司と部下、他部署同士など様々な連携がスムーズに行われるため、会社としても業績や生産性アップに繋がります。

逆にコミュニケーションが不足すると情報共有が上手く行われず、従業員同士で誤解や不満が生まれてしまい、仕事がうまくいかないだけでなく対人ストレスが増えて心身の健康を脅かしてしまうのです。

コミュニケーション不足による影響

具体的にコミュニケーション不足が与える社内への影響として、従業員のミスが増えやすくなる点があげられます。報告・連絡・相談は仕事のかなめ。これが不足すれば重要事項や緊急連絡の伝達にまで影響を及ぼし、仕事上のミスやトラブルが頻発しやすくなってしまうのです。ミスが増えればストレスが溜まり、自分や他人を責めることも生じるでしょう。

また、コミュニケーション不足によって顧客の問い合わせや発注への対応にも遅れやミスが生じてしまい、顧客との信頼関係に悪影響を及ぼします。直接業績に係わるトラブルも発生し、よりストレスを抱える事態に陥るでしょう。

人はストレスが増加することにより、自律神経のバランスが崩れて免疫力に悪影響が及ぼされる可能性があります。つまり心の健康を害すことによって、体にまで悪影響が及ぼされるわけです。食欲不振や不眠症といった生活習慣の乱れが引き起こされる可能性もあるなど、コミュニケーション不足が引き金となって懸念される心身への悪影響は多いことが分かります。

コミュニケーション自体がストレスになる場合も

コミュニケーションが不足することで抱えるリスクは大きなものですが、コミュニケーションが多ければ多いほど良いというものでもありません。職場で感じる「コミュニケーションストレス」とは、人と人で交わされるコミュニケーションが原因で生じるストレスのこと。情報や意見の伝達は大切ですが、伝えられた言葉や情報が漠然としていたり、配慮を欠いていたりすることによって、精神的なストレスを抱えてしまいます。

例えば曖昧な指示や、言っていることを頻繁に変えるようなコミュニケーションが多い場合、確認の手間が増える上にミス・トラブルの原因にも繋がります。会話が噛み合わない相手や、配慮のない言動が多い相手とのコミュニケーションも、ストレスの要因です。

コミュニケーション自体がストレスになれば、コミュニケーション不足に繋がって悪循環を生んでしまいます。社内の人間関係が悪化して最終的にハラスメントなどのトラブルになる前に、適切な数・内容のコミュニケーションを交わせるよう、職場内で意識を共有する必要があります。

コミュニケーション不足への対策方法

社内でのコミュニケーション不足を解消させるための施策として、以下のような方法があります。

• チームミーティングの定期化
• 社内SNSの活用
• オフィス環境の整備
• 従業員同士の協力を促すイベント

チームミーティングでメンバーの発言機会を作ることで、仕事の進捗やアイデアを共有しやすくなる他、メンバー同士の信頼を促すこともできます。ミーティングは定期化して継続することで、情報共有も積極的になっていくでしょう。

社内SNSは一般的なメール・電話とは異なり、自社独自で開発・運用していくSNSです。仕事に関する情報の発信だけではなく、メンバー同士で趣味や特技、社内イベント等を共有することもできますよ。

他にも、オフィス環境をフリーアドレスに整備したり、社員旅行や懇親会といった従業員同士のコミュニケーションを促す場を設けることも効果的です。従業員が趣味から交流できる場として、クラブやサークルの設立も良い方法でしょう。

ストレスのないコミュニケーションへの対策

職場内でのコミュニケーションストレスを改善するための施策として、以下のポイントを重視していきましょう。

• 上司との意見交換をしやすくする
• コミュニケーション能力についての教育をする
• 迅速な対応・指示を徹底する
• チャットによるコミュニケーション

上司との垣根を超えた気軽なコミュニケーションのしやすさが、コミュニケーションの気まずさや緊張を取り除く一助になります。定期面談や社内アンケートの実施など、社員が誰でも平等に意見を伝えやすい環境を整えましょう。

また、コミュニケーション能力についての教育として、ハラスメントや言動のすれ違いによる仕事への悪影響などを丁寧に説明する機会を設けましょう。プロ講師によるセミナーなども効果的でしょう。

情報の伝達遅れを防ぐためには、迅速でこまめな連絡を促すことが大切です。メールとも電話とも違う、チャットツールの導入でお互いの時間に配慮しながら効率良く業務連絡を交わすことも可能です。

コミュニケーション力を高めることも大切

コミュニケーションには、次の3つの構造があると考えられています。

• 状況を判断する力
• 伝える力
• 受け止める力

コミュニケーションが求められている状況を適切に把握して、相手や時・場所に合わせて柔軟に求められるコミュニケーションを判断することが大切です。

伝える力とは、自分の考えや意見を他者に表現する場合、分かりやすさを重視することです。自分のイメージだけを押し付けず、相手にもしっかり伝わるよう工夫して話す必要があります。

そして他者が発した言葉・態度をしっかりと受け止めて理解する力も欠かせません。「聞き上手」といわれるような、相手の言いたいことを正確に汲み取ることが重要です。